アイルランドで大学生が感じた現状

アジア諸国を中心に世界中で猛威を振るっている新型コロナウィルス(COVID-19)。

中国はもちろんですが日本もかなり影響を受けて、政府の対応力が試されていますね。

正直このトピックについて書こうかどうしようか数週間迷いました。。

こういう内容って書くの難しいんです。

一学生がアイルランドで感じた事ですのでご理解ください。

結論から言うと、現状アイルランドでの私の生活に影響はあまりありません。ただ今後のリスクに対する予防・対策の重要性は高いと思います。

ネットなどで海外でのコロナウィルスの関連でアジア人に対する差別が度々話題になっていると思います。最近だとフランスの日本食レストラン(経営者は中国人)の落書きがかなり拡散していますね。

私が住んでいるメイヌースではもちろん、首都であるダブリンにもほぼ毎週のように遊びに行きますが、コロナウィルスを理由に心無い言葉をかけられたことなどはありません。

ブログもそうですがSNSなどで個人が日常の出来事を簡単に発信できる社会だと、どうしてもネガティブなことって拡散しやすくて、'海外でこんなことされた'っていう話題は特にインパクトが大きく、一部の出来事が'海外＝これ'になってしまいやすいです。(私のブログも含めてですが汗)

勿論、アジア人だからっていう理由で落書きなんてしちゃいけませんし、差別的発言なんて許されることではありません。

そして、実際言われると鈍く響くんですよね…(これについては次の記事に書きます)

ただ私が見たところ、アイルランドで普通に道を歩いていて、コロナだなんて言ってくる方はそうそういません。ご安心ください。

現時点(2020年2月22日)でアイルランド国内での感染は確認されていません。

これがコロナ差別が起こりにくい理由かもしれませんね。

日本に停泊しているクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスにアイルランド人が6名乗船しており、そのうち2名が陽性反応を示したため東京都内の病院で治療を受けていますが、この2名は他のEU国の市民権とアイルランドの市民権を所有しており、普段はアイルランドに居住していなかったそうです。

また、そのほかにもカンボジアに停泊中のクルーズ船ウェステルダムにも9名のアイルランド人が乗船していたそうです。こちらのケースは既に陰性が出た2名はアイルランドに帰国しておりその他は結果待ちの状態です。

www.bbc.com

このような例があっても、アイルランド国内でのコロナウィルスに対する警戒心は他の国と比べるとまだ低いと思います。

感染のケースがないので今のところ中国パスポートに対する出入国の制限などは出されていません。

とは言っても着々とヨーロッパで感染が確認されています。

下の記事によると、これまでにアイルランド国内でも78人もの人が感染の疑いがあるとして検査を受けたそうです。結果は全員陰性でした。

これを受けて保険省の幹部も、「今後アイルランドでコロナウィルスが確認されても不思議ではない」と述べています。

また、同記事でトリニティカレッジのProf. Kingston Millsは「アイルランドと中国を結ぶ直行便は無いものの、他の国を乗り継いで入国することがアイルランドにとってリスクになる」と話しています。

www.rte.ie

やっぱり個人で予防したいですよね。

しかしながら、もしアイルランドに(または海外に)来ることがあれば、正直マスクの着用はあまりお勧めできません。

なぜならば、マスクを'予防'としてつける文化が無いからです。日本韓国中国などのアジア圏ではよく見る光景が、別の国々では誤解を招く可能性があるので注意しましょう。

マスクをするのは既に病気にかかっている人が'他の人への感染防止'という意味になります。しかも結構深刻な病気です。なので、アイルランドでマスクをして歩いている人は全然いません。

普通の風邪を引いていてもしないぐらい、マスク文化が無いです。

予防をしたい気持ちは山々ですが、悪目立ちしたく無いので私は手洗いうがいとハンドジェルを持ち歩いています。

こんな記事も出ています。

www.rte.ie

マスクで予防できる？という質問に対しての答えは、

くしゃみや咳、それが付着したものに触ることで感染するので、感染している人と接触する又は自分が感染した場合はマスクをするべきです。

でも体調不良が無いならマスク着用の必要はありません。

自分で手洗いうがいを心がけて、くしゃみ・咳をする時はティッシュで覆うなどの感染対策はできます。

手術用のマスクは唾などの飛散を防げますが、他のマスクは100％飛散を防ぐことはできません。

ちなみにこれはRTEというアイルランドのメディア(TV、オンラインニュース、ラジオなど)がインスタでコロナウィルスに関する質問を募集して、保健省の公衆衛生緊急チームのコロナウィルス専門グループのDr.Cillian de Gascunに回答してもらいましたーという記事です。

同じような質問に対して日本の厚生労働省はこう言っています。

問10 マスクをした方がよいのはどのような時ですか？

マスクは、咳やくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。咳やくしゃみ等の症状のある人は積極的にマスクをつけましょう。
予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられますが、屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。

www.mhlw.go.jp

似たような事を言ってはいるんですけど…

やっぱりマスクを付ける文化が有ると無いとじゃ国民の行動が違ってきますね。

こんなところで文化の違いを再確認です。

一方でアイルランド在住の中国人の方々は感染防止に強く反応を示しているように感じます。

そりゃ連日ニュースで中国本土の様子を見ていれば不安になりますよね。

私の友人のうちの一人(中国系)は、保護者からParnell Streetで火鍋禁止令が出ているそうです。

ダブリンにあるParnell Streetはアジアンショップや中華料理、アジアンレストランが並んでいて、チャイナタウンとまではいかないですがダブリンの中ではアジア色が強い通りです。その子はそこにある火鍋が好きでしょっちゅう行くのですが、感染対策としてしばらく控えるように言われているそうです笑

私は友達が今どれだけ火鍋を欲していることかを知っているので若干面白可笑しく聞こえてしまいますが、実際大事な対策だと思います。

また、アイルランド在住の子供向けの中国語の学校が休校になったり、ある小学校では保護者が校長先生に中国からアイルランドに帰国した児童の14日間の出席停止を求めて抗議したという話も聞きました。私が驚いたのは、出席停止を求めたのはアイルランド人ではなく他の中国人の保護者達だったことでした。中国本土の深刻さを感じる行動です。

留学生の友人には、夏休みは中国に一時帰国しないと既に決めた子もいます。

中国にいる家族は外出がかなり制限されている生活が続いていて、感染の危険もある上に、休暇明けに再入国することが今後リスクになり兼ねないのではと考えて、アイルランドで過ごすことにしたそうです。夏季期間の家探し・バイト探しがあるので早い段階で決めたみたいです。中国にいる家族もずっとこんな状態が続いて不安なのでしょう。

そして、私は大学で中国語を履修している事もあってChinese Socieryに入っているのですが、2月に大学で予定していた春節を祝うイベントがキャンセルになりました。

普段特にこれといって目立った活動はしていなくて、春節がメインイベントだった部ですが、そのメインが中止…

冬休み明けにはすぐ中止を決定していて、あまりにも迅速な対応に驚きました。

普段本当に何もしてないのに。。代わりのイベントは追々企画する予定とのことです。

また、休暇中に中国に一時帰国した生徒に対して、万が一体調が悪くなった場合の対処法とサポートもメールで呼びかけていました。

これらは本当にごく一部の私の狭い狭い交友関係の中でのお話なので、みんながみんなではありません。

私もこのストーリーを聞いた一人というだけであって、あーこんなことがあったんだとインパクトを受けましたが、普段通りの生活をしている人だって沢山います。

ですが、多くの方々が現状を深刻に受け止めて、アイルランドでも感染防止に努めています。

最後に、'アジア人は海外でコロナ差別される'みたいな認識は決して正解ではありません。イコールではありません。

私は幸いアイルランドで過ごしていてコロナ差別のターゲットになった事もなければ、他の方がコロナ差別されている光景を見たこともありません。

海外でコロナ差別を受けて傷ついた方々がいらっしゃるのは事実ですし(日本人に限らず)、リアルにそんな目にあったら怖かっただろうなと思います。

ただ、SNSやメディアの情報って便利な一方バイアスになりがちなのでやっぱり気をつけなきゃと思う今日この頃です。